「原作者:森博嗣 × 監督:神戸守の往復メール書簡」を受信しました。

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森博嗣さま

神戸 守

森 博嗣

2015/10/01 17:24

森博嗣さま

神戸と申します。小説家の方と文章でやりとりするのは、緊張しますね。
アニメ版『すべてがFになる』の『第1章・白い面会』が完成しました。

とはいってもこれを書いている時点では完成間近なんですが…

小説を読んで一番強く思ったことは、思い込みや刷り込みに惑わされてはいけませんよ、
ということで感銘を受けました。なのでアニメ版を作る際に、思い込みや刷り込まれていることはないかと見つめ直したり、
慣例的にやっていることを否定しようと思いました。
実はこれが結構な戦いだったんですね。
それでなんとか第一話の完成になったのですが、
良い悪いは別として一風変わった仕上がりになったように思います。
正直なところ大丈夫か? という不安もあるのですが、それは見る人次第なのでしょう。

それでは今後、よろしくお願い致します。

神戸 守
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Re: 森博嗣さま

森 博嗣

神戸 守

2015/10/01 20:17

森博嗣です

メールありがとうございます。
本日、編集部からDVDが届き、1話と2話を見ることができました。

とても面白く、笑いながら拝見しました。
やはり、小説や漫画とは違い、「動く」ことの強みだな、と感じます。

オープニング、エンディングも素晴らしいと思いました。
おそらく、多くのファンは、「え?」と驚くでしょう。
「ちょっと、これはないのでは?」と感じる人が普通かもしれません。
しかし、創作というのは、そういった簡単には受け入れられない部分の混在が
不可欠です。その矛盾の中に新しさを作っていくことが、創作の基本だとも
考えています。それがないと、流動食みたいになってしまいます。
(中に歯ごたえがある物が混在している方が美味しく感じる、という意味です)

本編にも、随所に歯ごたえのある新しさが見つけられました。
「一風変わった仕上がり」とありましたが、そこが新しさだと感じます。

それから、仕草が丁寧に描かれていて、「間」が良いですね。
表情もかなり自然で、奥床しいな、と思えるほどでした。

作品を送り出す側の人間は、いつも「大丈夫かな?」という不安のまま、
ぎりぎりを狙って投げることになりますね。
小説はマイナなので1球くらい外しても大丈夫なのですが、アニメは
見る人の数が多く、ますます、狙いどころが狭くなるかと思います。
ぎりぎりを狙うのが、きっと監督の仕事なのだな、と想像します。

しいたけを食べる場面は、さりげないですが、面白いアクセントでした。
脚本を見たときは、この設定「大丈夫かな?」と思いましたが、全然大丈夫でした。

まずは、お礼を申し上げます。ありがとうございました。
よろしくお願いします。
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Re: Re: 森博嗣さま

神戸 守

森 博嗣

2015/10/7 21:54

神戸です。

返信ありがとうございます。
1話2話に関して肯定的に捉えて戴けてホッとしました。
確かにアニメは絵が「動く」ことが強みで、視点や時間を強制的に見せることが出来ます。それがメリットでもあるのですが、「ん?」と思ったところでそのまま置いていかれてしまうデメリットもあるかと思います。
漫画や小説は自分の間で読み進めることが出来るのが、強みかなと思います。

矛盾の中に新しさを作っていくことが、創作の基本だとも考えている。それがないと、流動食みたいになってしまう。
なるほど! と思いました。
王道やセオリーから外れた事をしようとすると、不安を持たれてしまうことが多いのです。そうなると、こちらまで不安になってきて当たり障りのないところで落ち着いてしまう、ということはよくあります。
新しいことをする、何かを変えようとすることが思う以上に難しいなと感じることはよくあります。すこしの勇気があればいいように思うのですが…

萌絵の椎茸は可愛いかな? と思っています。でも犀川の目薬はちょっとやり過ぎたかなぁ? という気がしないでもありません。大丈夫でしょうか?
そろそろ3話が上がりそうです。
よろしくお願いします。
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Re: Re: Re: 森博嗣さま

森 博嗣

神戸 守

2015/10/9 20:31

森博嗣です

1話と2話は、家族が見たいと言ったので、今日また見ました。
犀川先生の目薬ですが、僕は目薬がさせないので、さしません。
絶対に目が開けられないのです。

萌絵の表情があちらこちら笑えますね。わかりやすい人になって
います。現代風のお嬢様は、こんなふうに素直なのだな、と思い
ました。

2話の四季の車の中での表情は、凄みが出ていましたね。
光の使い方でそう見えるようです。

第1話の視聴率のお知らせが来ましたが、とても良い数字だそう
ですね。皆さん、いろいろな方面で熱心に仕事をされていて、
やはり、トータルで利いてくるのでしょう。

僕としては、アニメを見た人の3%くらいが原作の既読者だと
計算しています。

第3話が間もなく届くようです。楽しみにしています。

ではでは・・
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Re: Re: Re: Re: 森博嗣さま

神戸 守

森 博嗣

2015/10/17 17:25

神戸です。

返信遅くなりましてすみません。本編作業に追われていました。
おかげさまで1話の視聴率が良かったようです。
いろんな分析があるようですが、ここは素直に喜ぶ事にしました。

僕も目薬をさすのは下手で、椅子に深く腰掛けて指で目蓋を強引に広げる
アニメ版・犀川のスタイルになってしまいますが、
たぶん白目はむいていないと思います。
僕は猫舌で子供の頃から遠視だったので、萌絵には親近感があります。
遠視はこの歳になってくると老眼と呼ばれるようです。
元々近くが見えづらかったのが、さらに見えづらくなってきているので、
少し抵抗がありましたが、視度+1の眼鏡をかけてみたらこん
なに手元が
よく見えるんだと、少々驚きでした。
今では仕事中の眼鏡は必需品です。

光の当て方には気を配ってはいますが、なかなか思うようにはいか
ないことが多いですね。
2話の車の中は上手くいったと思っていますが、
3話の屋上のシーンは場所が広いせいもあってか、思っていたのと
はちょっと違ってました。
でも悪いわけではないので、まあよいかと思っています。
未来が登場するシーン、気に入っています。
少々遅れていますが、来週か再来週頭くらいに4話をお届けできる
か? と思います。
ロボットのミチルが思ったより面白くて、スタッフの中で人気があ
ります。

では、よろしくお願いします。
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Re: Re: Re: Re: Re: 森博嗣さま

森 博嗣

神戸 守

2015/10/20 20:33

森博嗣です

お忙しいところすみません。
(はっきりいって、関係者の中で僕ほど暇な人間はいないでしょう)

第3話のDVDが届いて、さっそく見ました。
ヘリコプタのシーンは、ええ、大変クールでした。
全体的に、暗い場所が多いのと、音楽などが入らない静寂が、スリルを出しています。

目薬が苦手とか、遠視とか、監督とは共通点が多いですね。驚きました。
僕は、目薬は目を開けられないので、瞑ったままさして、染み込ませる
しかありません。もう20年以上さしていません。
遠視は子供のときからで、小学生のときに測ったら、視力は4.0でした(倍の距離で2.0が見える)。
同じく、つい最近、+1の老眼鏡をかけたところ、こんなに本が読みやすいのかと驚きました。
おかげでゲラを読む速度がぐんと上がりました。手で文字を書く距離では近すぎるのです。

アニメの話に戻りますが、猫舌、椎茸、目薬など、上手にさりげなく処理されて
いるのが良いです(説明がないのが良い)。マリンバも良かったですね、あの間が良い。
わざわざこれを出すのも良いです。ミステリィのファンは絶対にここを疑います。

アニメはやはり、会話の「間」が的確に再現できて羨ましいです。小説だと、
「、」や「……」を駆使することになります。ときどき、間の秒数を書いてしまいます。
「1秒間言葉が途切れた」とか、「3秒間考えて思いついた」とか。

周囲の話を聞くと、とにかく、丁寧に再現されている、今までで一番キャラがしっくりくる、
などの声を聞きます。ただこれは、順番もあるかと思います。さきに、漫画、ゲーム、ドラマ
とあって、最後にアニメになったので、受け手も免疫ができたのだと解釈できます。
ツイッタなどの感想も、「好意的」の方が多くて驚いています。今までなかったことです。

それから、ファンの方は、アニメの中に一瞬だけ登場するアイテムを見つけて喜んでいます。
そういう文化があるようですね。そんなサービスを除いても、ディテールが本当に考えられている、時間を使って考え抜かれている、という印象を受けました。

第4話を楽しみにしています。
ではでは・・
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「すべてがFになる」製作委員会

研究員各位

2015/11/10 18:00

気になる二人のメールの続きは、
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